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【名勝負選】53期王位挑戦者決定戦 藤井猛九段VS渡辺明竜王

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 藤井猛九段は言うまでもなく『藤井システム』を開発した棋士。その登場は1995年12月のこと。当時居飛車穴熊が猛威を振るう中どうしたらそれに対抗できるか、を考え開発された。対戦相手は井上慶太九段(当時六段)。その衝撃的な棋譜はここにある。左銀・桂・角・端歩と全ての駒が穴熊に篭もらんとする玉に襲いかかる様は圧巻だ。なんと47手で投了という凄まじい結果となった。井上慶太九段は今でもこの棋譜をネタにされて若干可哀想でもある。

 藤井九段はこの攻めの革新性に気付いたがその後1年以上温存し研究を重ね実践での投入を控えた。そして満を持して披露したのは第11期竜王戦挑戦者となった時だった。挑戦者決定戦でもシステム的なものを繰り出しかけたが対戦相手の羽生四冠との駒組みの結果出なかったとのこと。結果的にこれがその後の衝撃の四連勝での竜王奪取につながる。当時の竜王は谷川名人だったが藤井システムに対しての研究は皆無であり(そもそも世間に出回っていなかった)対応できなかった。この圧勝により藤井システムは瞬く間に世間を席巻する。

 しかし対応策が次々に練られ次第に藤井システムは指されなくなっていく。藤井九段はよく自身を鰻屋になぞらえて話をする(四間飛車・藤井システムのエキスパートとしての自負)が2007年以降、ゴキゲン中飛車や居飛車矢倉で闘うことも出てきて「これからは多角経営です」と嘘びれたりもしていた。

 時は流れ2012年。53期王位挑戦者決定戦で藤井システムがあらわれた。4筋に飛車を振り78に右銀を上がる。藤井システムのスタートだ。中盤にはあきらかに状況が悪くなったのだが終盤・ガジガジ流(貪欲に玉に食らいついていく棋風からこう呼ばれる)が活きる。166手に渡るその凄まじい攻防はここの棋譜から見ていただきたい。もう胸熱である。その後も藤井システムは改良を続けているようで2014年の王位戦挑戦者決定リーグでも登場。結果は木村八段の居飛車穴熊に勝利している。